『仙台箪笥』の国の伝統的工芸品指定に向けた取り組みは、産地としては伝産法制定以来、当組合も設立当初からの目標でありました。
「仙台箪笥」は、江戸時代末期に仙台藩の地場産業として生まれました。素朴な中にも豪華な金具で装飾され、堅牢で重厚感に満ちた世界に誇る、日本を代表する箪笥のひとつとして、皇室で利用されるなど高評価を受けております。
しかし、総じて情報発信力が弱く、地元の認知度においても若年層を中心に低い傾向があります。また、現状において市場が小さく、このままでは拡大を見込むことも困難なことから、製造販売にかかわる企業・従事者数が減少し、技術者・後継者問題は年々深刻な状況になってきております。
他方では、東日本大震災により、被災住民を中心に古い仙台箪笥の修理が殺到しています。そこから地域に根付いてきた仙台箪笥の価値や魅力が世代を超え受け継がれ、地域の生活文化のうえで重要な役割を果たしてきていることが改めて証明されました。
こうした中で、『仙台箪笥』の技術・技法を絶えさせず、さらに発展していくためには、産地関係者が一体となってこの難局を乗り切る必要があります。そのきっかけとして、この度の国の伝統的工芸品指定は、被災地域を支える産業の復興という側面からも極めて意義のあるものと確信しております。
当組合は『仙台箪笥』の国の伝統的工芸品指定を頂いたことで、伝産法に基づく振興計画において、下記の4点に力を入れていく実施する所存であります。
(1)産地組織・体制などの拡大強化(2)後継者の確保・育成(3)技術・技法の継承(4)国内外への一層の普及・啓蒙
『仙台箪笥』の国指定を受けたことで、仙台箪笥業界全体(産地全体)の発展・振興、活性化に繋げられるよう、引き続き努力して参る所存であります。
仙台箪笥協同組合 代表理事 湯目 研一郎
この伝統マークを使った伝統証紙が貼られている仙台箪笥は、産地組合等が実施する検査に合格した経済産業大臣指定伝統的工芸品です。仙台箪笥は平成27年6月18日に指定されました。